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小林よしのり
2018.7.3 10:48メディア

国防を楽観主義で論じることはできない

朝のワイドショーを見てたら、次の米朝会談がニューヨーク
で行われるという情報について、コメンテーターがずいぶん
楽観的で、核の完全廃棄、東北アジアの平和がやがて来ると
信じている様子だ。

そのように「信じる」ことは勝手だが、驚いたのは玉川徹が
悲観論者をディスっていることだ!
北朝鮮が非核化するか否かというテーマは、当然、楽観論、
悲観論、両方あり得るだろうが、公平中立の建て前を守ら
なければならないテレビのコメンテーターが、悲観論者を
ディスるか?
玉川徹、まるでネトウヨやネトサヨみたいな性格になったな。

玉川は「悲観論を言う人は、米朝の外交が壊れればいいと
考えている人たち」とまで罵った。
はっきり言うが、わしは北朝鮮の核の完全廃棄が成ったら、
それはもう大変うれしい!
トランプ大統領にノーベル平和賞をあげるべきだと思う。

ただし、金正恩はダメだ。
北朝鮮内の収容所にぶち込まれて拷問を受けている人たちが
いるのに、平和賞はない。

わしは基本的には国防の問題は、「悲観論」で考えるものだ
と思っている。
なにしろ国民の命、国家の命運がかかってしまう問題で、
楽観論に立つことなど絶対に出来ない。
玉川徹だって、家に鍵をかけているはずだ。
警戒心をなくすことなど出来ない。
ましてや、国家の安全保障がかかっている問題で、しかも
自国の政権は関わらず、他国間の外交で進んでいる話だ。
全くの他人任せであるにも関わらず、なんで楽観論に立て
るのだ?
普段はトランプの悪口ばっかり言ってたくせに、なんで
トランプをそこまで信用できるようになった?
思考回路が全然分からない。

わしは安倍とプーチンの北方領土を巡る会談は、やっぱり
主権問題が引っ掛かって、進展しなくなったなと思って
いるし、オバマが核廃絶宣言でノーベル平和賞をとった
意味などゼロだったと思ってる。悲観論が正しかった。

今回の米朝間の外交では、なんで「リビア方式」で
核廃棄を短期間に済ませないのかと疑念を持っている。

第一次大戦のあとに楽観的な平和主義が欧州を覆ったが
ために、ヒトラーが台頭して第二次大戦となった経緯も
教訓にしている。

国防に関することで、楽観論に立つのは危険だ。
北朝鮮の核廃棄ができないならば、日本も核武装して、
均衡を保つしかない。
玉川徹は、今回、徹底的な楽観論に立って、悲観論者
をディスったのだから、もし核廃棄ができなかったときは、
まさか日本国の核保有論に反対はしないだろうな?
なぜなら玉川徹は、楽観論で北朝鮮の核保有を応援した
ことになるのだから。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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